【オンコロジーパイプライン】次に売れる抗がん剤TOP5!
こんにちは。ケースケです。
今開発中の抗がん剤、どれぐらい期待されているのか?
なんて考えたことありませんか?
自社の開発品情報って、当然会社ホームページとかで公開している以上の情報持ってますよね。
開発品AはPhaseIIでよい結果が出そう…
開発品Bは登録が中止したらしい…
じゃあ上市したらどれぐらい売れるのか?
ビッグマーケットになると予想されるTOP5について、
機序と予測売り上げについて紹介します。
もしかすると、10年後はこの中の製品が
全オンコロジー製品のTOP5にランクインしているかも?
ブログ更新。抗がん剤新規機序の薬剤売上予測TOP5です。CAR-Tとかは割とメジャーですが、舌噛みそうな機序の名前の薬剤もありますね。https://t.co/L4iozi2G5X
— ケースケ@mr-lifehack (@Keisukemrlifeh1) September 1, 2018
2024年、次に売れる期待の抗がん剤TOP5はコレ!
前回は上市されている製品の売上予測でした。
今回は現在開発中の薬剤の機序と、売上予測について記事にしたいと思います。
出典:EvaluatePharma® World Preview 2018, Outlook to 2024
No.1 Tipifarnib
売上予測:1,665m$ 日本円でおよそ1,844億円 (2024年時)
開発会社:KURA Oncology(販売会社非開示)
作用機序:Farnesyl transferase inhibitor
Clinical Trials .govでの登録試験数 81 (2018年8月末時点)
特徴
HRASの活性化にかかわる酵素:ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤。
PhaseIIの結果がAACR-NCI-EORTC2017で発表されています。
本試験は甲状腺癌を対象としたコホート1、
頭頸部扁平上皮癌を対象としたコホート2、
頭頸部扁平上皮癌拡大コホート3、
扁平上皮癌(頭頸部扁平上皮癌を除く)を対象としたコホート4で行われており、
このうちHRAS陽性頭頸部扁平上皮癌6人中4人でPR、奏効率67%と報告されました。
例数は非常に少ないものの、新たな治療標的因子として有望な結果と報告されています。
治療例数が多い症例でも、1年以上の奏効持続期間が報告されており、
まさにこの変異がある人の希望となる可能性がありますね。
No.2 Tazemetostat
予想売上高:1,408m$ 日本円でおよそ1,560億円 (2024年)
開発会社:Epizyme社 (日本、アジアの開発はエーザイ社)
作用機序:EZH2 inhibitor
Clinical Trials .govでの登録試験数 16 (2018年8月末時点)
特徴
エピジェネティック関連酵素である、EZH2を標的にした治療薬。
恐らくはFirst in classとなることが予想されている薬剤です。
EZH2は遺伝子発現を調節するヒストンメチル基転換酵素を構成するタンパク質の一つで、
先行しているのは血液がんですが、各種固形がんに対しても検証が行われる予定です。
余談ですがエーザイは本格的に抗がん剤の開発を加速させていますね。
自社品、導入品含め多数進行しているようです。
アルツハイマー病との2強体制を作れるか?
No.3 GSK2857916
予想売上高:1,367m$ 日本円でおよそ1,514億円 (2024年)
開発会社:GSK社
作用機序:B細胞成熟因子(BCMA)抗体
Clinical Trials .govでの登録試験数 3 (2018年8月末時点)
特徴
GSK Oncology 復活の筆頭化合物とされている薬剤です。
EMAからPRIME指定を受け、11月にはFDAからブレークスルー・セラピー(BT)の指定も受けています。
メインは多発性骨髄腫でしょうか。
このBCMAは、骨髄腫細胞の60-70%に発現する抗原といわれています。
BCMAに対する抗体に、単メチル化オーリスタチンFをコンジュゲートしたADC抗体であり、
抗CD38抗体療法(ダラザレックス®)、プロテアソーム阻害薬療法(ベルケイド®)、
および免疫調整薬療法(レブラミド®)の3療法後の第4選択薬として期待されているようです。
No.4 CB839
予想売上高:1,262m $ 日本円でおよそ1,398億円(2024年)
開発会社:Calithera社
作用機序:Glutaminase inhibtor
Clinicaltrial.govの登録試験数 12(2018年8月末時点)
特徴
進行しているのは腎細胞がんに対する試験ですね。
ASCO-GU 2018で、第I相試験の結果が公表されています。
本試験の結果、前治療平均レジメン数3レジメンの
進行性腎細胞がん患者に対するCB-839+カボザンチニブ併用療法は
客観的奏効率(ORR)40%、病勢コントロール率(DCR)は100%。
他には血液がんではAML,MDSなど、固形がんでは肺がん、乳がん、大腸がんなどです。
またこの薬剤はICI(免疫チェックポイント阻害剤)との併用試験も計画されており、
試験がうまく行けば市場が大きく広がりそうですね。
No.5 JCAR017
予想売上高:1,154m $ 日本円でおよそ1,278億円(2024年)
開発会社:セルジーン社
作用機序:CAR-T
Clinicaltrial.gov登録試験数:7試験(2018年8月末時点)
特徴
三剤目となるCAR-T療法です。
ちなみに開発会社は現在の所製品数は4品目ですが、
うち2品目はセルジーン社が開発中で、本領域への本気度が伺えます。
※セルジーン社は2018年1月にジュノ・セラピューティックス社の買収を発表しています。
ちなみに現在開発中のものも含めたCAR-T療法としては以下の通りです。
開発会社 | 製品名 | 奏効率(%) | 適応症 |
ノバルティスファーマ | CTL019 | 45% | B細胞急性リンパ芽球性白血病 |
カイト・ファーマ | KTE-C19 | 39% | びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL) |
ジュノ・セラピューティックス | JCAR017 | 66% | 悪性非ホジキンリンパ腫 |
ブルーバード・バイオ | bb2121 | 100% | 多発性骨髄腫 |
Tipifarnibについては、新たな予後予測因子を標的とした薬剤で、有効性も示している期待の薬剤です。
まずは頭頸部癌で、他固形癌へ…といったところでしょうか。
販売会社は決定していないようです。
一部同化合物名でヤンセンファーマとの提携の記事がありましたが、
詳しいことはまだ不明確です。ヤンセンがやるかもですね。
GSKはオンコロジーの事業部そのものを一旦解散し、
ノバルティスと事業交換を行った過去がありますが、
正式に再度立ち上げ、人も多く集めるかもしれませんね。
ただ少し節操無い印象を受けますが。
また多発性骨髄腫は近年、薬剤による恩恵を大きく受けた疾患ですが、
そのためか各社開発を加速させています。
セルジーン開発中のCAR-Tに多発性骨髄腫狙いのものもありますしね。
そんなセルジーン社はレブラミド®︎の特許切れをどう補うかが注目されていましたが、
CAR-Tを始めとして対策は取られているように見受けられます。
他にも開発品進行中で、いずれも10億ドル~20億ドルの製品を複数抱えているようですし。
2019年、2020年での承認が複数見込まれています。
当然ながらFirst in classの薬剤のみの検証です。
まだ提携先が決まってない(発表になっていない)製品もありますので、
もしかすると、あっと驚くような会社が手をあげるかもしれませんね!
ケースケでした!
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