潜在ニーズを顕在化しよう、の手法はもう古い

潜在ニーズを顕在化しよう、の手法はもう古い

この前Twitterで呟いたチャレンジャーセールスモデルについて。

これはあくまでも概念なのですが、知っているのと知らないのとでは少し仕事の取り組み方が変わるかもしれません。

「先生の治療上のニーズはなんでしょうか?」とか聞いてしまう人。

こんな人は一回立ち止まって、自分の質問の意味を考えてみましょう…

 

本日紹介する書籍はこちらから

 

研修部の作るストーリーを疑ってみる

これは疑って終わりにはしないでください。そこで終わりにすると単なる研修部に対する愚痴が出て終わります。

愚直に言われた通りではなく、ちょっとアレンジなどしてみては、というのが趣旨です。

 

1.ニーズを把握しよう!は危険な一手

想定ロープレなんかでよくありがちなのですが、「ニーズを把握しよう」ってやつですね。

これ、ニーズ教えてくださいって言って、そのまま答えてくれたらこんなに楽なことはありません。

第一わかっているならなんらかの行動を取っていると考えられるので、すでに把握されている時は遅いのです。

 

2.潜在ニーズを顕在化しよう!的なやりとりについて

これね、やり方までを丁寧にやる研修部の人に会ったことがありません。

しかも大体が「質問を重ねてニーズを特定していく」みたいな流れになっているかなと思います。

この尋問みたいなやりとりでニーズが特定できたら、それはもう教科書に載るレベルで大成功ですが、

まず実際には無理だと思います。そもそも特定できるニーズは潜在ニーズでもなんでもありません。

ちょっと自分の身近な例に置き換えて考えてみるといいと思います。不動産の営業でもしましょうかね。

営業「将来無理なく過ごせる貯蓄を構築するにはどうしたらいいでしょうか?」

私「月々まとまった額を確保」「塩漬けはもったいない」「何かに投資して運用する」

「!!!!そうか!!!不動産投資すれば資産が築ける!!!」

なんてことにはならないわけで、そんなほとんどの人がすでに考えおよんでいることは、質問してもニーズの特定にも何にもならないのです。第一このやりとりやる前に、こう思うタイプの人はマンション買ってると思いますよ(笑)

 

3. ニーズは生み出すもの、示唆質問を投げ込み続ける

私は今3社目ですが、SPIN話法で言うところの示唆質問を使いこなしている研修部にあったことがありません。

恐らくはどんな営業でもここが重要ではないかと思っていて、これが教えることができる人は優秀なトレーナーです。

表題通りでニーズは生み出す物もの。全く想定していなかったコト、モノに対して、

「もしかしたら自分にとってはそれ必要かも?」と思わせたら話の半分ぐらいは進捗しています。

例えば一例ですが私の場合はこんな感じ。

まぁちょっと大袈裟なケースですけど、そもそも私も子供の留学なんて考えていないんですよ。

でも「子供がやりたいことはやらせてあげたいなぁ」って思っているし、

「この不安定な社会情勢で、日本以外の国の可能性はあるのかなぁ」っていう普段なら妻との雑談でしか出ないレベルの話題を、

思いっきり引き上げるには十分な質問だと思います。少なくとも私にとっては。

これがよく研修とかで出てくる「医師個別の課題に対して〜」ってやつです。

ここまでのレベルで特定できる材料を知っていて(重要)、子供の留学然り、こうした「その人にとっては響く」みたいな話題を投げ込めるかどうかが大事です。

そして「おっ…なかなか鋭いところ突っ込んでくるな」と思われるには、こうした「示唆質問」を数多く当てていきます。

 

4. 一度生み出されたニーズは解決したくなってくる

かなり特定の業界の営業パーソンのイメージが偏っていますがご容赦を(笑)

ガチャ切り電話からここまで引き上げるには、全く考えてもいなかった新しいニーズを生み出せるかどうか。

そして一連の流れの大事な点は次のコレ。

当たり前だけどここまで話しておいて、自社の保有する物件で想定の貯蓄が構築できる提案ができなかったら、

それは流石に営業失格だと思われるので、「最後は自社品に流れるような示唆質問」を投げていくのです。

この示唆質問を数多く考えられる人は天性の営業センスがあると言っても良いと思います。

現在は「ニーズを把握して、それに合った解決策を提案する」から、

「ニーズを生み出して、そのニーズに応えることができる製品、サービスを提案する」という流れがトレンドです。

 

その他おすすめの書籍など

Sales isって本も参考になると思います。

まぁこれはどちらかというと、いわゆる「ザ・ビジネス書」って感じのノウハウ本。

ただ書いてあることは結構面白いです。

コロナ禍の事情も反映させていると思うし、何より面談ひとつとっても、ここまできちんと準備するんだということに気づけるだけでも価値のある本。

思うに新卒からこの業界にいる身としては、MRって「営業する前の準備」が適当だなって感じることがあります。

少なくとも「今日はこんな話をして、この辺りの情報を得たら、この資材でここを紹介して…」これぐらいは考えたい物です。

でもあまり事前準備に時間かける人って今まで会ったことないんですよね。ここは力を入れたいところ。

この辺りの準備と指示が徹底されているメーカーなどは、医師評価も高いのではないでしょうか。

勝手ながら国内系の評価がTOPに入る某メーカーなんかは、この辺り徹底しているのだろうなと感じています。

めちゃくちゃ追いかけるし、一言目で足止めて話してるんだよね…話す内容を事前に準備できているってことなので、

さすがだなぁといつも感心していました…担当製品数めちゃくちゃ多いって聞いてるのに…

 

余談:マーケティング業務に営業センスは必要か?

これは色々意見があると思うのだけど、「ないよりはあったほうがいいでしょ」理論を推します。

提供する情報の中身もそうですが、どう届けるか、というのも大事。

例えばこの2-3年で営業の手法はWeb面談という新たな武器を手に入れました。

そうすると「Web面談時に提示しやすいような画面レイアウト」の資材を作成するんです。

実際に自分が営業してみないと気づけないことも多く、またその考えは時代のトレンドに基づいていないといけない。

そう思うので、マーケは営業を学び続けないといけないのではないかなって思います。

 

ただマーケ本来の仕事を考えると、実は「営業」という職種抜きで考えることもできるのです。

本当に極端な例を挙げると、Webサイト見た医師が全員自社品を処方してもらえる、

こんな夢のようなコンテンツがあれば、営業手法などは無視して良いわけですよね。

こう言った考えの「現場の声を一切無視」タイプのマーケターの人も一定数存在していて、

現場と本社の軋轢を生むんですよね。いがみ合っても何も良いことないのですが…

私は現場寄りのマーケティングがいてもいいんじゃないかなって思うので、しばらくは今のままのスタンスでいこうと思います。

 

チャレンジャーセールスモデルについて前回の記事はこちら

これからのMRはチャレンジャーセールスモデルを目指せ!

SPIN話法に関する記事はこちらをどうぞ。

【SPIN話法のススメ】得意先で何を話せばいいかわからないという人へ