【ICIの事例から】オンコロジーMRはプライマリー化する?
こんにちは。ケースケです。
突然ですが、オンコロジーMRとプライマリーMRの違いって何でしょう?
がん以外でもその後の生命予後に大きな影響を与える薬剤ってありますよね。
特に近年台頭してきたPD1抗体を始めとする免疫チェックポイント阻害剤。
各社開発を進めており、上市されたもの以外でも複数社開発を進めています。
じゃあ各社MRとしての働き方に違いはあるのでしょうか?
そもそもPD1,PD-L1抗体の使い分けって…?
ブログ更新しました。オンコロジーMRはプライマリー化するのか?https://t.co/esWSWJOjLH
— ケースケ (@Keisukemrlifeh1) September 14, 2018
とりあえず免疫チェックポイント阻害剤を経験しておこうは危険な考え?
※immune checkpoint inhibitor→ICI
私が扱っているかどうかはあえて伏せますがw
今医薬品市場を盛り上げているがん免疫療法剤ですが、各社同機序の薬剤を有していて、
すでにレッドオーシャンの戦いを繰り広げています。
数年前(数十年前)行われていたCa拮抗剤、ARBの高血圧領域と同様に、
各社ヒト、モノ、カネを投入し販売網を広げていますね。
違いは疾患が予後不良疾患であるかと、適応症に少し違いがある事でしょうか。
「どの会社も扱っているから、ICIを扱っておかないと!転職だ!」
というオンコロジーMRの方もいると思います。これは間違いではないと思いますが、
市場ではすでに発売されある程度使い方が定まったところに、
「PD1がどのように抗腫瘍効果を発揮するか」なんて興味がないところですし、
よっぽど独自性の高いがん種,飛び抜けた有効性を持っていない限りは、
ゾロ新の評価どまりだと思います。
プライマリー化しつつある現状を変えるためには
今後発売予定のメーカーが営業部隊を立ち上げる場合、
転職時は経験者が有利でしょう。
当然類似機序を扱っているメーカーから採用すれば、知識と経験があるので即戦力です。
とはいえ仕事内容は思い描いたイメージの仕事ができるでしょうか?
肺がん領域はすでにプライマリー化してきている
例えば一例をあげれば肺がん。肺がん領域のICIは熾烈な争いで、
各社肺がんに対する臨床試験はほぼ行っています。
理由としては、ICI市場の半分は肺がんが占めると考えられているからです。
ただARB等とは違うのは、治療ライン、併用、事前検査等で
各社差別化を図っているところです。とにかくお願い営業!というわけでは無いですが、
「どの薬剤でも問題ないポジション」の争いは、
プライマリーMRの活動に近い部分も目の当たりにします。
また今後参入する場合、独自性を打ち出すことができなければ、
市場にはすでに複数のICIが発売しているので、全く意義を感じられない薬剤になりかねません。
「自社品のみがデータを有している」ICIを持っているメーカーは強いですね。
ICIの勝者はイミフィンジ®なのか?
例えば先ほどの肺がんを例に上がれば、PACIFIC試験に代表されるイミフィンジ®。
20年以上新薬が出てこなかった領域で有効性を示し、
この治療ラインでは恐らく独壇場かと思われます。
ステージIIIの肺がん患者は、残念ながら再発してしまう人も一部存在しますが、
次の治療で同じ機序のICIを積極的に使っていくデータはまだありません。
イミフィンジ投与後再発のステージIV肺がんなんかは、
レッドオーシャンな戦いなわけです(そもそもエビデンスがないので投与されるかどうかわかりませんが)
市場の大きな肺がん領域で、独自性を打ち出したイミフィンジ®がTOP ICIかというと実
は異なります。Evaluate Pharmaが発表した2024年、ICI領域の売上高TOPはキートルーダ®です。
まずステージIIIの肺がん患者は全体の2割程度であるという事と、
肺がん領域以外の適応追加試験の結果が出ていないことがあります。
ICIはその機序から様々ながん種で有効性が期待されていますが、
やはりその点は先行して発売しているオプジーボ®、キートルーダ®などが順調です。
結果、TOP5に2剤がランクインしてくるのでしょう。
医師はどのように使い分けている?
私の担当医師にどのように使い分けているかコメントもらってきました。(肺がん専門医)
まず非小細胞肺がんと診断後(最も市場が大きい)、
初回治療にデータがあるのはキートルーダ®なので、基本この薬剤の投与を検討し、
キートルーダ®が投与された症例は他のICIは投与しない(原則)。
他治療をしていた場合、オプジーボ®、テセントリク®この両者の使い分けは難しく、
やや使い慣れたオプジーボ®使うことが多いものの、今後のデータに期待して
テセントリク®を使ってみたい…という考えだそうです。
(例:EGFR遺伝子変異陽性患者に。IMpower150試験)
例えばここでインパクトに残る営業をしているMRのICIを使うのかな~とは考えてしまいます。
オンコロジー領域の転職を考える人へ
独自性を持った領域で開発しているかどうか、というのを参考にしてみましょう。
新有効成分であるのは前提としても、いまからICIで肺がん領域に飛び込んでいくのは
かなり消耗戦を強いられると思います(特に非小細胞肺がん)。
結局プライマリー領域時代の戦いにもどりそうな気も…しています。
MRが本当に必要なのは、新規機序、希少疾患、予後不良のこれらのキーワードを満たす
薬剤を販売しているとき、なのかもしれません。
ケースケでした!
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