【MR向け読書のススメ】タイプ別オススメの書籍紹介

【MR向け読書のススメ】タイプ別オススメの書籍紹介

2019年一つ目の記事となります。

平成最後の年、本年もよろしくお願いします。

今回はMR向け読書のススメとして、まとまった長期休暇で読書の時間が取れたので、

現在置かれている状況別にオススメの本を紹介します。

業界関係の書籍については、少しマニアック?な本をセレクトしています。

※若手MR…入社2,3年目ぐらいの方を想定しています。

https://twitter.com/Keisukemrlifeh1/status/1081570954512220161

医療業界関連に関する話題(これから入社する学生さん向け)

まずこれから入社するor就活で製薬会社を考えている学生さん向けに、

医療業界がどういった業界なのかを少しイメージしてもらう生々しい書籍たちです。

正直いきなり刺激が強いようですが、冒頭記載したように、

よく読まれているような本はあえて除外しています(例えば医薬品業界について、みたいなタイトルの本)

なんとなく今まで知らなかった、「あぁ、そうなのか」という気づきを得ることができる本2つ。

 

ビッグファーマ 製薬会社の真実

マーシャ・エンジェル著(ニューイングランド医学雑誌前編集長)

 

・製薬会社は自分たちはリスクの高い産業だというが、製薬会社は年々、他の業種と比べて、

はるかに高い利益を上げるようになってきている。

・製薬業界は自分たちは革新的な産業だというが、製薬会社の作っている薬のほんの一部だけが

真の意味での新薬であり、ほとんどの薬は既存の薬のバリエーションに過ぎない。

製薬産業のビジネスモデル、「儲け方」について具体例をあげて書かれています。

著者はNEJM前編集長、この業界でNEJMを知らない人はいません。

(NEJM:New England Journal of Medicine,世界最高権威の医学雑誌)

そんな著者だからこそ、数多くの医薬品発売の事例を目の当たりにし、

製薬会社の儲け方の仕組みと裏話に詳しいのでしょう。

 

製薬会社は慈善事業ではなく、営利組織です。

営利組織は利益の追求=より多くの売り上げを上げることを使命としています。

「人の命を救いたいから」という志望理由を掲げてMRになった人もいるでしょう。

間違ってはいませんが、この考えだけで行くと理想と現実のギャップに悩むことになると思います。

なぜMRという営業マンが存在するのか?それは薬の販売が競争だからです。

「いい薬」も3つも4つも出れば、当然競争が発生します。

この業界は値段による差別化ができません。

薬は薬価が定められており、同時期に出てきた同種同効薬はほとんど薬価が一緒です。

 

主にはアメリカ、FDAの事例が多く書かれていますが、

日本に読み替えても参考になると思います。

個人的には、MR認定試験のテキストにしても良いくらいの本だと思っています。

特に倫理なんかはこの本から出題してもいいくらいと思いますが、多分しないでしょうね。

 

沈みゆく大国 アメリカ

堤 未果 著

 

まずこの本を読む前の大前提としては、

・アメリカの医薬品は自由薬価(製薬会社が自由に価格を決めることができる)である

・自分が入っている医療保険によって、保険適応の医薬品が決まっている(全ての薬が保険適応ではない)

・政策によって、無保険者に保険を供給できる。「つまり市場は生み出せる」ということ。

いうまでもなく日本は国民皆保険という制度があります。これは素晴らしい制度です。

自己負担金額3割で治療が受けられる上に、高額な治療は後から払い戻される制度まであります。(高額療養費制度)

また、承認されている医薬品は全ての人が等しく使うことができます。

昨日承認されたばかりの、有効率100%の薬剤を即日届けられるのです。(例えば、ですが)

アメリカの場合保険に入っていなければ全額自己負担で、かつ薬価は概ね日本の2倍〜3倍する薬剤が多いです。

また承認して年々薬価が上がって行くのも特徴的です。一度治療を始めた人を逃さないのです。

 

この本ではオバマ大統領の時の「オバマケア」が話題に挙げられています。

無保険者に保険を!ということで打ち出された政策ですが、喜んだのは保険者になった人でしょうか?

一番喜んだのは製薬会社です。

3,200万人が新たに保険者になったとされています。

いきなり3,200万人分の市場が拡大したのです。

そしてその支払いは「税金」なんですね。各州は頭を悩ませることになります。

 

既にこの現象に頭を悩ませている国があります。それが日本です。

日本は国民皆保険制度、国民健康保険の人が治療をすると、7割〜9割は税金で支払いがされます。

アメリカで起きたことが日本でも起きる可能性があって、世界的に医薬品の価格負担は重荷になっているのです。

こうした社会情勢も知っておけるといいですね。

(トランプ政権に変わってこのオバマケアは実質廃止されたそうです)

医師の仕事を理解してみる(新人MR〜若手向け)

最近は医師という職業の方々が一般向けにたくさん本を書いていますが、

里見清一先生の本を2冊ご紹介します。

 

医師の一分

里見清一 著

 

医者と患者のコミュニケーション論

里見清一 著

 

今回取り上げたのは以下の理由です。

・医師の1日を紹介するスタイルの本ではなく、我々の知らない診察室の中でのやりとりに焦点が当てられている

・治せない、治らない患者とのやりとりなど医師の考えを知ることができる

・医師から研修医へ送る指導内容が織り込まれている

 

里見清一先生は本名國頭英夫先生、日赤医療センターの化学療法科部長で診療されています。

(ネタバレ!とかではなく書籍の裏表紙にきちんと書かれています)

がん化学療法の世界では有名人です。

実際に学会等での講演も拝聴したことがありますが、

歯に衣着せぬといいますか、かなり痛快な講演をされる先生で面白いです。

 

医師の仕事内容が書かれた本は数多くあります。

マンガとかでもありますよね。麻酔科とか、精神科とか。

里見先生の本はなんというか、「医師として診療に当たる先生も、人間臭く悩んで患者と接しているのだな」

と考えさせられるような具体的なエピソードが盛り込まれています。

もちろん里見先生の経験、意見でしかないのですが、こうした話を担当の医師から聞くことはほとんど無く、

「普段どういった感じで外来で診察してるのかな」

という疑問に少し応えてくれる本ではないかと思います。

一般の方向けに書かれた雑誌に掲載されたものを集めているので、難解な用語など無く面白いですよ。

 

データの取り扱いについて(新人MR〜若手向け)

この業界で仕事をすると避けられない「統計学」について。

もしまだ間に合う学生の皆さんは、教養科目の統計学を履修しておきましょうw

医学統計シンプルスタイル

落合 隆志 著

 

医学統計ライブスタイル

山崎 力 著

 

・比較的図解が多く講義形式でわかりやすい

・タイトル通り「医学統計」をテーマにしているので、自然とイメージがわきやすい

・医学文献に出てくる統計手法、研究方法から学べる

どちらを先に、と言われると「シンプルスタイル」の方からお勧めします。

なんとこの本はMRが主役!MRに必要な統計を解説していく、というストーリーです。

認定試験後は製品の勉強をして現場に配属される人がほとんどかと思いますが、

いきなり当然のように「有意差が…」「このコホート研究は…」と???となります。

そんな駆け出しMRの皆様に統計を知っていただくにはわかりやすいかなぁと思います。

 

ライブスタイルの方は、ある実際に行われた試験を題材として、論文に掲載されている

図表のデータの解釈の仕方について講義されていますので、

論文の吟味方法なんかも勉強になりますよ!

ちなみにこの本を読めば、カプランマイヤー曲線は(データがあれば)自分で書けるようになります。

グラフ紹介して、「でもこの試験は18ヶ月以降センサーが多いし、判断するのは早くないか?」

なんて言われて???となった人は、一度読んでみるといいと思います。

仕事に対する考え方(若手MR〜中堅まで幅広く)

最後は単なるビジネス書の紹介になります。

ご興味ある方はレビューとかも見て、参考にしてみてください。

 

エッセンシャル思考 最小の時間で成果を最大にする

グレッグ・マキューン 著

「やらなくては」「どれも大事」「全部できる」

この3つのセリフが、まるで伝説の妖女のように、人を非エッセンシャル思考の罠へと巧みに誘う。

「やらなくては」ではなく「やると決める」

「どれも大事」ではなく「大事なものはめったにない」

「全部できる」ではなく「何でもできるが、全部はやらない」

超ざっくり要約すると、「本当に大事な仕事だけに焦点を当てて、あとはやらない」という考え方です。

何となく目的もないのに営業後オフィスに戻って内勤する人。

何となく目的もないのに土日にPCを立ち上げてメールとか見てしまう人。

そんな人にはぜひ読んでほしい本。

「仕事をどうやるか」ではなく、「その仕事はやる必要があるのか」を意識できるようになります。

 

なぜ、あなたの仕事は終わらないのか

中島 聡 著

この本は時間術がテーマの本です。

特に本書前半部分で触れられている、「終わらない仕事は、こうなっている」の部分は結構あるあるです。

・提出する資料の着手がいつもギリギリで、結局歯抜け資料のまま提出してよく怒られる

・医師からの質問の回答作成がアポ前日とかになり、満足いく回答が作れなかった

・内勤しなきゃいけないのはわかるけど、卸〜得意先周りで時間がないよ!

こんな人にはオススメの本です。

 

期限まで逆算して、最初の2日で8割を終わらせるという考え方は、

仕事の質を上げる意味でも大事なことだと思います。

特に医師からの質問回答に関連するデータ、文献などまとめているときは、

骨組みを作っておけば、期日までに思いついたことを参考データとしてさらに補強し、

結果納得いただける回答が作成できると思います。

著者曰く、集中力の秘密は「界王拳」らしいですよ!

(Amazon prime会員の方はkindle版は0円なのでどうぞ)

 

まとめ

今回は書評をお届けして見ました。

また面白い本があれば紹介してみようと思います。

ケースケでした!