【SPIN話法のススメ】得意先で何を話せばいいかわからないという人へ

【SPIN話法のススメ】得意先で何を話せばいいかわからないという人へ

認定試験の結果が出て、安堵している人も多いでしょう。

ターゲットを分析して、いざ営業!となった時に思う次の壁が、

「何話せばいいの?」というシンプルだけど一番難しい悩み。

そんな時は聞くことリストを作ってしまいましょう。

昨年は認定試験に受かることだけを考えて、来年から本気出せと書きました。

【新人MRマニュアル】認定試験後から始める来年の準備

その来年が来て回り始めて、困るのが「何を話せばいいのか?」という問題。

正解はない部分ですが、ちょっとこの点について考えてみましょう。

 

研修で習うことは話せるのに…

製品の研修とかも始まってますよね。

講師が新しいデータなり文献なり紹介して、

ではお隣の人とロープレをしてみましょう…といったような黄金パターン。

正直これに意味があるかどうかの議論は置いといて、

こんなこと思ったことないですか?

「データの紹介はスラスラできるけど、そこまでたどり着かないんだよな…」

 

文献も読めて理解力も高いのになぜ伝えられない?

こうした研修をやると思うのは、若手ほどデータをスラスラと話せるということ。

これが担当の先生に伝わっていたら、自社品のいいところ伝わっているので、

もっと処方出てもいいかもしれませんね。でもなかなかそうはいかない。

「先生こんにちは。自社品Aは競合品Bと比較して有意に血圧を下げることができて…」

なんてやっていませんか?いや、やってしまうことは別にいいと思います。

「こんないいデータが発表になったので全顧客に話して来ましょう!」

と研修部は言いますが、大事なのはその話にどうすれば結びつけることができるか、

その過程の部分を教えてくれる人ってなかなかいないですよね。

 

SPIN話法を勉強してみよう

面会を不安に思うのは「何を聞いたらいいかわからない」からです。

「何を聞いたらいいのかわからない」というのは、「こんなことに困っているのではないかな」

という仮説がまだ建てられていない状態です。

そこでSPIN話法を参考に、質問の文言まで固めてしまいましょう。

つまり雑談から伝えたいデータまでをワンセットにして、台本を作ってしまうのです。

 

SPIN話法ってなんだ?

以前も書籍紹介のページで紹介しました。

詳しい解説は以下の本を読んでみてください。

 

SPINの概要

Situation(状況質問):現在の状況を理解するための質問

Problem(問題質問):問題点を明らかにし、医師に理解してもらうための質問

Implication(示唆質問):問題点から想定されるリスク等が、どれだけ重要かを理解するための質問

Need payoff(解決質問):解決した際に考えられる利点、目指す状態を理解するための質問

こういうことをやり始めると研修部の仕事になってくるので、

噛み砕くとこんな感じです。

S:「先生、現在治療中の高血圧の患者さんは何人ぐらいいらっしゃいますか?」

→100人ぐらいはみているかな。

P:「高血圧の人はどんな症状を訴えるのでしょうか?日常生活に制限はあるのですか?」

→息切れ、動悸とかがある人がいるかな。階段の上り下り辛いかもね。

I:「無治療のままだとどんなリスクがあるんでしょうか?」

→そういえば心臓に負担がかかるかな…高齢だし心不全リスクあるかもな…

N:「治療薬で血圧をコントロールされてはいかがでしょうか。リスクを減らせると思います」

→そうだね。紹介してみよう。

なんてこんな綺麗な例はほぼないですし、何より僕は血圧系扱ったことがないのでいい加減です。

もっと噛み砕いて行くと、(言葉悪く失礼)

・状況質問は雑談に近いです。「先生最近どうっすか?」

・問題質問は既に認識している問題を思い出してもらいます。「こんな問題ありません?」

・示唆質問はリスクを煽ります。「いや〜それ放置したらちょっとやばくないすか?」

・解決質問は解決策を質問形式で伝えます。「うちのこの薬使えばリスク無くなりません?」

※示唆質問と解決質問は特に難しいのですが、この話はまた今後にします。

質問の作り方はどうやるか?

大事なのは、解決質問で解決できる策が自社医薬品であるということです。

ということで解決質問までいければうまくいきそうですよね。

その前の示唆質問をたくさん考えておくことをお勧めします。

「(自社医薬品を使わないことで)こんなリスクがあるのではないでしょうか」

「(自社医薬品を使うことで)先生,患者さん,ご家族がこんなことが楽になるのではないでしょうか」

こんな感じで遡って考えていきましょう。

問題質問はおおよそ問題だと思われることを聞いてみます。

ここで「いや?特に困ってないよ?」と言われたら退散しましょう。

事前の仮説の立て方が不十分です。示唆質問までたどり着きません。

状況質問はジャブですが、これを多用すると調査会社になり鬱陶しいだけです。

多用厳禁で、雑談に近いイメージで使ってみましょう。

 

基幹病院を担当し始めたら

医局前でショートコミュニケーションのみの施設の場合、

質問はもっと短く端的にしなければならないですよね。

この時は問題質問、示唆質問から導入してみましょう。

綺麗な流れではないものの、「おっ?そういえばどうだったかな?」

と足を止めてもらえればベスト。こちらの話を聞いてもらえます。

逆に言えば、状況質問はしている暇がないはず。

「高血圧と診断された患者さんは月に何人いますか?」とか、

「弊社のA錠を新規で何人ご処方いただきましたか?」とか、

これらはいずれも大事な情報だけど、実績の出方等で推測できるはず。

質問をしている時間がもったいないんですね。

データは会社側で用意されているものから、ある程度の推測を立ててしまいましょう。

 

質問はデータベース化しよう

ここまで読んでいただいた方で、実際に考えてやってみよう!という人は少ないと思います。

なぜならとってもめんどくさいから(笑)

でも何を話していいかわからず、医局前で先生が素通りになったことはありませんか?

高市場先でコミュニケーションが取れないと、処方は伸びませんよね。

講演会の案内だけで、自社品のメリットは伝わるでしょうか?

「これを聞いてこい」って誰かが言ってくれたら、その日に通った医師へ聞けませんか?

ちょっとだけ考えて、質問をメモしておけば、活動は楽になるのではないでしょうか。

…とSPINっぽく書いてみましたが、

一回考えた質問は他の施設でも応用することが可能なので、

決して無駄にはならず、むしろ目的を持って訪問できるので足が軽くなります。

n=1ですが僕がそうだったので。楽するためにマニュアル化してしまいましょう。

 

質問を否定されてしまった時に考えること

市場が大きいが自社品が採用になっていない施設を想定してみましょう。

競合品と比較して自社品のメリットを考えてみてください。

問題質問、示唆質問をいくつか考えてみます。

あっていても間違っていてもいい。

間違っている場合は医師が訂正してくれるのでトライアンドエラーです。

訂正なんてしてくれないよ!という方、実は結構してもらっていると思います。

事実が間違っていたら怒られるが、解釈の仕方は人それぞれであり、

「私はそうは思わないよ」というのは否定ではなくディスカッションの始まるきっかけです。

もう一言で言うと気にしない。なるほど医師はそうやって考えているのか。と思いましょう。

ただ妊婦に禁忌の薬剤を、「妊娠中の方でも安全にお使いいただけます!」

とかいったらそれはアウトだってことわかりますよね。事実は曲げないように。

 

例えば抗がん剤を例に。

非常に有効性の強い治療薬Aは、既存治療に併用することで効果が強まる(PFS延長)が、副作用も強くなる。

あなたはこのAを扱っているとする。

ガイドラインでも推奨されている治療方法であり、使用することに異論はない。

当然、治療薬は有効性の高いものを!という考えから行けば「Aを併用すべき」となりますね。

これ自体は間違った考え方ではありません。

でも「効果はそこそこでも、副作用少ない方が患者さんに取ってはメリットだよ」という意見もある。

これ自体も何も間違っていない。

自社品Aを活用いただくために、

「もっとも効果の高い治療から行えば、生存期間は中央値で1年以上差が出ます。この1年で患者さんはどれだけいろんなことができるかを話し合ってみてください」

と有効性にフォーカスしてもいいし、

「高頻度でおきる副作用を、 支持療法を駆使して使った報告はこれです。減量せず、有効性を保ったまま副作用発現率は減らせているようです」と副作用軽減の提案をするのも、

解釈の仕方が異なっている場合の否定はむしろディスカッションポイントなのです。

医師はあなたの発言を全て否定しているわけではありません。

自分の伝えた内容が否定されたからと言って、足を止めてはいけません。

その先生の考えにあった自社医薬品の提案の仕方があります。

その提案内容を増やすために、学会へ参加したり、文献を読んで勉強して知識を増やすのです。

研修部が出してくるデータがどうもいまいち使えないな?と思う理由は、

あなたの担当施設、医師にあったデータではないからだけです。

(研修部を否定しているわけではなく、自分にとって必要なデータは自分で探しましょうということです)

まとめ

・SPIN話法を少し勉強してみよう

・質問ストックを貯めれば活動は一気に楽になる。

・示唆質問で聞く体制を作ってから、初めて自社医薬品の宣伝をしよう

慣れれば質問は量産できます。

複数医薬品を扱っている人は、ディスカッションポイントは類似しているからです。

自分だけの質問ストック作成は、得意先への足が軽くなって活動量増えますよ!

ケースケでした!