営業研修のロープレは意味がないのか?新しいやり方を考える

営業研修のロープレは意味がないのか?新しいやり方を考える

研修などでロープレをやることありませんか?

MR役、医師役等に別れて、自社品のパンフレット紹介する練習をする。

営業的には必要な業務なのですが、どうも苦手…という人は多いですよね。

何か新しいやり方はないか?今回はロープレのやり方について書いていきます。

 

ロープレで身につくことは何か?

ロープレの目的は、

・自社品のデータ紹介が正しい解釈かどうかを確認する

・データ紹介までのアプローチ方法を複数に増やす

・他の人のアプローチをコピーしてしまう(全員やらなければ意味がない)

この辺りでしょうか。

研修でやると自社品のデータを話すことを目的としがちですが、

本来はそこに至るまでのアプローチを学んだ方が、より実践的だと思います。

 

ロープレではどのようなフィードバックが的確なのか?

他者のロープレを批判するのではなく、改善するためのフィードバックを行うことです。

批判と改善の違いは、「意見した人が自分なりの回答を持っているかどうか」です。

つまり「君のロープレはここがダメだよ」で終わっては単なる否定で何も得るものがありません。

「ここを改善したらどう?そのデータの前に、このデータを話すと、より納得度が増えるよ」

このように、発言者なりの意見があるもの以外は単なる批判です。

 

あとは逆に「まぁ、よかったんじゃないですか…」みたいな感じでなぁなぁになってしまうパターン。

外で恥を書くより、社内で事前に揉まれた方が絶対に良いです。

たとえ本当に上手にできていたとしても、改善点を話合わなければやる意味ありません。

若手も遠慮なくベテランに意見した方が良いです。

逆にそれを受け入れる環境をファシリテーターは作ってください。

職位の高い人こそが、模範となるロープレを行う意識を持つ

僕も中堅(ベテラン)と呼ばれるような年代になり、ここは意識しておきたいところです。

これは相当な緊張感だと思います。

ロープレは若手の仕事!俺たちは批判のみ!という人は、このタイプの研修に不要な人です。

冒頭に書きましたが、ロープレは他者批判することが目的ではなくて、

「どう提案すれば情報が届くか?」「提案時の自分の改善点はどこか?」に気づくことで、

「多種多様なアプローチの仕方から、より良い提案の流れを造る」ことだと思います。

ご自身ができないことを、偉そうにアドバイスしているだけでは何も響かないですし、

何も得られない、実に無駄な時間を過ごすことになります。

 

ベテラン勢の方は、今までの営業の経験から実践した場面も多いわけで、

その取り組みをそのままロープレに反映させたら良いのではないかなと。

ぜひ参考になる模範的なロープレを実践して欲しいものです(自分も含めて)

もしできなかったら、たとえ若手からでもアプローチの仕方を学ぶ(盗む)ことをお勧めします。

そのままでは、いつまでたっても売り上げ上がらないですからね。肩を叩かれる人材になってしまいます。

 

医師役を演じる人も重要な役割

医師役等を管理職(営業所長等)の方が行うことがありますね。

今まで接してきた顧客タイプを多く把握しているのは、この営業所長の役職についている方です。

ご自身がMRの時はもちろん、メンバーと同行することで最も多くの顧客と接しているでしょう。

難航施設の先生を演じることで、他メンバーが同様の事例にぶつかった時の改善策とします。

うまくいかなくても、全員で考えてアプローチの引き出しを増やしておきます。

 

注意点としては、あくまでもロープレは演じているだけで正解ではないということ。

実際にこの難航施設医師を攻略できるかどうかは、担当者が実践しないとわかりません。

ただここで増やした引き出しの数は、他の施設でももちろん役に立つはずです。

アプローチ方法1つで挑むより、3つ4つあった方が突破口を見出せるでしょう。

偉そうに顧客を演じているだけではいけないのです。自分の課題施設の顧客を演じることに徹しましょう。

ロープレの本質は「質問力」を高めることができるかどうか

ざっくばらんに質問力を勉強したい場合は、題材は自社の医薬品でなくても良いと思います。

極端な例ですが、トヨタ車を買いたいという人に、三菱車を売ることができるか?とかでも良いと思います。

最終的なゴールは綺麗に「よし!三菱車にしよう!」とかしなくて良くて、

どんな質問が響いたかをみんなで検証するのが良いかなと。

教科書的に書くと、状況質問、ニーズの把握の質問を聞いて、

・三菱車の方がこんなメリットがありませんか?

・三菱車にしないとこんなデメリット考えられませんか?

(SPIN話法ではこれは示唆質問にあたります。これが一番難しいです)

これを考える訓練の場にすれば良いのかなと思います。

客と営業を本当に演じるのではなくて、

「こんな質問どう?」みたいな軽いイメージでアイディアを出す作業を繰り返し、

このやり方を自社医薬品でも同様に行えば良いと思います。

質問力のストックの多さは、実際の面会でも必ず役に立ちます。

 

【SPIN話法のススメ】得意先で何を話せばいいかわからないという人へ

 

自社品のデータの説明はみんなうまくできる

過去の経験上多くの方は、データの説明はスラスラとできることがほとんどかなと思います。

つまり「このデータ詳しく教えてくれる?」と言われた時はできるのです。

しかしその「聞いてくれる環境を作り出す」のが難しいのでうまくいかない。

相手はよっぽどの※ウルトラピカ新でない限りは、特に困っていないケース多く、(※画期的新薬のこと)

現在の標準治療薬で概ね治療ニーズは満たされています。

この困っていない顧客に対して、どうニーズを感じてもらって、自社品に関する質問をしてもらうか?

これらのアプローチ方法をみんなで探し出すのが良いと思います。

SPIN話法などの質問方法を参考に、多種多様なアプローチを考えてみましょう。

従来のやり方でロープレしても意味がないのか?

今までのデータ紹介だけを重視するロープレでは、あまり意味がないですね。

なぜなら医師毎に響く質問は違うわけで、ましてやロープレでそれが再現できるとも思えません。

そして「データをうまく説明することを重要視」しているロープレでは、

医師が食らいつく瞬間がないと成り立たないので、結局実戦とのズレが生じます。

「説明は自信があるけど、説明する環境がない…」

ここを解消できなければ、前に進んだとは言えません。

 

ではロープレせずにいきなり実戦?となりますが、これではとんでもない悲劇が起きます。

  1. まず自社品の説明をある一定水準までできるかどうかは確認しましょう。

ここが多くの方が今やっているロープレの目標となっています。

批判をするのではなく、改善するポイントをフィードバックすることに努めます。

「このデータ教えてくれる?」と聞かれた時に、

一発で納得いただけるレベルに引き上げておくのが目標です。

 

2. アプローチの方向性を複数作りましょう

SPIN話法等(別にSPINでなくでもOK)参考に、多種多様な質問の引き出しを作っておきます。

今までとの大きな違いは「質問ストック」があることです。

ロープレ通り面会して「ダメでした…」という従来のやり方から比べると、

この質問ストックがあれば、実戦でのトライ&エラーの精度が上がります。

今まで重視されてきた「うまく話す流れ」のロープレではなくて、

「こんな質問だとどう思う?」と数を意識して、全員でアイディアを出すことです。

対応できなかった医師のリアクションは、再度メンバーで共有してさらなるアプローチを作っていくのです。

どんな質問が、「そのデータ教えて?」と食いついてもらえるか、

このストックを沢山作る事が目標となります。

 

まとめ

・ロープレを批判の場に使わず、改善の場であることを意識する。

・ベテラン勢こそ他者の参考となるようなロープレをすべき

・データ紹介だけでなく、そこに至るまでのアプローチ方法の数を増やす

Twitterでも呟いた通り、うちの営業所はベテランから取り組み、

「そう言われたらこう質問してみましょう。次は僕が」といった感じでどんどん交代してやってます。

ロープレって恥ずかしいし、他人から評価されるのが苦痛だと思いますが、

「全員でアプローチ方法を作り上げる」という意識に考え方を変えれば、

意外と嫌な思いせず、積極的に取り組めますよ。

経験上若手の人ほどハッとするような質問を思いつくことも多く、

我々ベテラン勢は、実は助けられていることが多いのです。