【MRの訪問効率を考える】完全アポイントの規制はデメリットか?

【MRの訪問効率を考える】完全アポイントの規制はデメリットか?

少しご無沙汰してしまいました。

今日はみんなお悩み、「完全アポイント制」の訪問について。

はっきり言って月1回会えるかどうかのこの施設に、

上司は「毎週1回会え!」とか言ってくるのでなんとかしたい。

こんな施設を担当してる方に届いて欲しい、メリットデメリットについて。

MR以外で、アポイント無しで訪問することは稀ですよ!

まず大前提として、営業マンが得意先に営業する際は、

アポイントをもらって面会するのが一般的です。

「当院は完全アポイント制になりました」なんて言われて、

ますます肩身狭い仕事になっていくのかなぁ…なんて思っている人。

大丈夫です。他産業の営業マンは全ての得意先が「完アポ」です。

 

完全アポイント制度のメリットデメリットについて

デメリットはたくさん思いつきそうですよね。

面会困難でそもそも営業できない、上司は面会数うるさいし…などなど。

完アポ制度のメリットは、一回の面談の質にこだわることができる、ということだと思います。

もう少し具体的に言えば、きちんと事前準備をして面談するので、

その面談のために費やした時間と労力はそのまま他の施設での面会にも生きてきます。

よっぽど特殊な事情出ない限りは、医療現場で困っている仮説は大きくは変わらないものです。

まずはスタンダードにアポイントをとってみる

メール、電話、FAX、とにかくアポイントを取ってみる。

大体の施設は、アポ依頼時に候補日と要件を伝えますよね。

要件のところに、「◯◯錠の情報提供について」なんて書いていたりしませんか?

ちょっとこれではただでさえ忙しい時間を割いて面会はしてくれないですよね。

なぜなら「興味がない」ことだからです。

 

「メールで何度もアポイント出しているのに返信がないんです…」

という場合は、「この要件なら会わなくてもいいかな」と思われているからと認識しましょう。

面会するには少しばかり要件の部分にも工夫が必要です。

 

とにかく一回、道をこじ開けろ!

具体的にどんな要件なら面会していただけるか?

自分が担当医だったら…みたいな感じで考えてみると、

・自分の診療に役立つ情報

・自分の興味を満たしてくれる情報

・自分の立場を満たしてくれる情報

この辺りじゃないでしょうか?具体的には、

・自社医薬品で新規に報告された副作用について

・先生の研究分野に関連した、自社医薬品の最新の研究結果(MSL同行)

・現在企画中の講演会での座長の依頼

個人個人状況によりますが、まずはこれぐらいの要件は作ってみましょう。

 

「そんなに副作用も出ないし、研究結果もないし、講演会に役割もつけられないよ!」

という方。まあごもっともですよね。

過去ケースケが行ったちょっと変わり種のアポイント依頼は、

・肝不全の人に弊社の〇〇錠の使用を検討されている先生がおり、同様の事例がないか情報を集めています。先生は肝臓のご専門かと存じますので、一度本件でご意見をいただくことは可能でしょうか。

→いわゆる回答がない質問を他施設で受けた場合に、専門家に聞いてしまえの一石二鳥の策。

(施設、医師名は伏せましょう。ちょっと人を選ぶ打診かもしれません)

・以前ご案内した講演会の特別演者より、現場の先生がどんな情報を知りたいか、と依頼がきております。

講演にも反映いただけるということですので、先生のご意見をお聞かせいただけないでしょうか。

→ニーズの収集にも役立ちます。担当者とネゴして懇親会で席を近づければ関係構築になります。

と、これは一例ですが、医師側にも会うメリットを感じてもらわなければいけません。

完アポ施設が多い人は、このアポイント依頼のバリエーションを増やしておくことが必要です。

一撃必殺の面会を極める、脳内ロープレのススメ

みんなが訪問している時間分、「脳内ロープレ」をやってみよう

やっともらえたアポイント。次のチャンスがいつくるかはわからない…

そんな時は面会準備として、「脳内ロープレ」をやりましょう。

意外とこれをやらずに、あっさりした面会で終わってしまうことはよくあることです。

せっかくのチャンスを無駄にしない様、この1回の面会にすべての労力をかけるのです。

 

脳内ロープレとはその名の通り一人で考えることですが、

以下の3点はイメージしてから面会に臨みましょう。

・今回の面談の目的

・これだけは伝えたい1フレーズ

・次回の宿題(当日の質問を次回の宿題としてすぐにアポ取りをする)

1フレーズ、って何かというと広告のキャッチコピーみたいなもので、

「本当に伝えたいことはシンプルにする」のだそうです。

(ちょっと書かれていた本のタイトルは忘れてしまいましたが)

 

以前書いた記事でも人の記憶について触れた記事がありますが、

人間はメモを取らない限り、一つの面会の時間で覚えていることはせいぜい2,3個と言われています。

「製品のキーメッセージ」が2,3個ではなく、単語レベルで2,3個です。

「抗がん剤Xは,奏効率75%で副作用はYよりも10%少なく、XY試験で300例ずつ調査した結果X剤の有効性が有意差をもって証明されP値0.0001となり腎障害がある症例でも有効であるという結果が出ました」

これを口頭で言われても覚えないですね。

自分の後に他社がアポなら、完全に忘れていると思った方が良いです。

「Xは腎障害あっても奏効率変わりません。根拠はXY試験です」

これぐらいシンプルじゃないと伝わらないですね。

なので伝えたい1フレーズを意識して考えてみましょう。

 

たった月1回の面談でいいの?

僕は特に問題ないと思っています。

自分の立場に置き換えると、転職のエージェントは1回しか会わずに転職決めましたし、

生命保険も1回会っただけで契約までしました。

本当に必要な求められる情報が届けば、人は1回の面談結果でも変わると思っています。

 

完アポ施設の担当者は、1回の面談で医薬品の処方につながる様な、

脳内ロープレを含む事前準備に相当数時間をかけるべきです。

極端な話、他社も同じ条件であれば、

興味のある話題をもってきたメーカーが有利ということになります。

質問を考える+想定する答えまで、フローチャート形式で考えておきましょう。

行き着く先はどの様な経過を辿っても、伝えたい1フレーズを目標として軌道修正します。

 

人とのロープレは意味があるのか?

よく研修でロープレとかやりませんか?あれ自体にはそんなに意味がないです。

第一真剣にやってないですよねw

形式ばったロープレは必須ではないと思いますが、

自分の質問に対してどんな返答がくるか、というのは他者の目線で意見を集めるのも必要ですね。

 

具体的には、自分の考える質問を話してみて、

「こんな答えが返ってくるんじゃないか?」

という返答をひたすらリストアップしてみるとか。

それらにも明確な回答で答えることができれば、実際の面会でもうまくいくでしょう。

研修でやる新しいデータは勉強しただけではなんの意味もないので、

それを伝えるための「質問」と、「想定される返答とそれに対する解決案」を、

研修ではひたすらリストアップしていけばいいのではないかな、と個人的には思っています。

(弊社研修部は頭でっかちなのでなかなか実現していないのですが…)

 

まとめ

・完全アポイントは「面会の質向上」というメリット面もある

・回数会わなければ行けないという考え方を変えてみましょう。

・条件は各社同じなら、一撃必殺の面談の刃を研ぐべし!

 

この規制は間違いなく今後加速していくと思います。

医局前で出待ちなんて光景は5年後ぐらい先にはなくなっているかもしれません。

そのため今からきちんとアポイントを取って、

面会してもらえる「選ばれるMR」になりましょう。

ケースケでした。