バイオベンチャーへ転職の不安について【生産性を見よう】
早期退職が相次ぐ製薬業界。
明日も我が身…ということもあり、ケースケはいわゆるバイオベンチャーに転職しました。
この選択が絶対正しいと言うわけではありませんが、
一番の不安が「いきなり買収されて会社無くなったりしない?」ということかと。
今回はこの辺り書いて行こうと思います。
結論:どの会社も買収されるリスクはありうる
いきなり結論でまとまってしまっていますが、
このご時世どの会社も買収されるリスクがあることは認識すべきです。
2019年初、衝撃的なニュースとしてブリストルのセルジーン買収が発表されました。
米ブリストル・マイヤーズスクイブは8兆円で米セルジーンを買収すると発表。米イーライリリーも米ロキソ・オンコロジーを8600億円で買収することで合意しました。今月8日には、武田薬品工業がアイルランド・シャイアーの買収を完了し、世界8位のメガファーマが誕生。勢力図を書き換えるような大型M&Aが活発化する中、ほかの世界大手の動きにも注目が集まります。
2018年度時点でセルジーンの世界ランクは20位です。
またその後夏前にアッヴィのアラガン買収の話題もありましたが、
アラガンは世界ランク19位の会社です。
米ブリストル・マイヤーズスクイブによる超大型買収のニュースで幕を開けた2019年の製薬業界。年の半ばに差し掛かっても勢いは衰えることなく、勢力図を塗り替えるような大型のM&Aが相次いでいます。
米アッヴィは6月25日、アイルランドのアラガンを630億ドル(1ドル=107円換算で約6兆7400億円)で買収すると発表しました。買収は2020年はじめに完了する見通し。両社の売上高を単純合算すると485億4000万ドル(約5兆1900億円)となり、世界4位の巨大製薬会社が誕生します。
つまり乱暴な見方ですが、世界ランク20位程度の会社ですら買収されてしまうのですから、
それ以下の売り上げ規模の会社もいつでも可能性はあると認識した方が良いと思います。
事実僕もそのように認識しているため、エージェントとは繋がって情報収拾は続けていますし、
前職携わっていたオンコロジー領域の勉強は続けて、少しでもリスク回避できるよう努めています。
バイオベンチャーはむしろ狙い目か?
自分は以下のように考え、社員数も少ない、規模も小さい会社への転職を決めました。
・一人当たりの売上高が業界平均より高ければ利益が取れている
・人海戦術も必要となるプライマリーケア領域に参入しなければ、社員数は増えない
・50-100億円程度の小型品目でも、複数品目パイプラインがありリスクヘッジできる
一言でまとめると「生産性が高いかどうか」で見ました。
ちなみに私見として、生産性は「本社間接部門も含む全社員」で計算すべきだと思っています。
一部MR数(営業人員数)で算出している指標もありますが、
間接部門の人たちも当然給与支払いはあり人件費となるためです。
また企業のカラーも出るのか、MR数は同程度なのに総人員数に差がある企業なんかもあります。
この場合間接部門の人数が多く、人件費構成に占める割合は高くなるため、
より計算に含んでおかないと実情を反映しているとは言えないと思います。
生産性は非常に高い企業が多い
自販品目が2製品で、売上が合計で100億円の企業。
メガファーマの人からしたら「100億円だけ…」とイメージされるかもしれませんが、
仮にこの企業がMR10人、社員数計50人で活動していたとしたら、
生産性は2億円/人となるわけです。
武田薬品の2019年度決算資料によると、売上高は5710億円、
単体の社員数は5291人(2019年3月末時点)とありました。
生産性は1億800万円/人となりました。
業界でもっとも生産性が高い企業はどこなのでしょうか?
極論の記事ですが、参考までにこんな記事を。
ミクス編集部は、製薬企業各社のMR1人当たり生産性を集計した。その結果、ギリアド・サイエンシズが2年連続でトップとなった。C型肝炎治療薬ハーボニー、ソバルディ―の売上の大幅増により、1人当たり生産性は、15年度より9億円余りも伸ばし24億6090万円だった。
MR1人当たり生産性は、16年MR数(編集部調査 ミクス16年6月号掲載)で、製薬企業各社の2016年度(決算期ベース)の国内医療用薬売上高を割って算出したもの。
ハーボニーバブルに沸いていたギリアドの生産性に関する記事です。
ちょっとこれは持続的なものではないですが、
瞬間最大風速はこれぐらいだという指標になりそうですね。
大きなお世話ですが現在の生産性はどうかと見てみると…
従業員数は320名(2019年1月時点)
既存薬の売上高は横ばいだとして265億円
抗HIV薬の売上が鳥居薬品から計算されていますね。これがおよそ215億円
HIV領域で増員しているでしょうか。MRは21人だそうです。
HIV領域をめぐり、同社では18年に鳥居薬品とのライセンス契約を解消し、自社販売に切り替えた。同製品では、事業部のMR21人体制でシェア獲得を狙う。
まぁ正確ではないですしかなりざっくりとした計算となりますが、
2019年末の売上予測は480億円、社員数は350名程度になったとしましょう。
Total社員数の生産性は1.37億円/人となりました。
新薬の「ビクタルビ」の日本国内でも売上は不明なので、売上はもっと高い可能性がありますね。
少なくとも大手メガファーマと比較しても遜色のない生産性だと思います。
余談:抗HIV薬の生産性高すぎ…
それにしても200億円規模の事業部の営業人員が21名ってすごくないですか?
一人当たり計画が10億円ぐらいあるのでしょうか…
かなり利益の出る事業部ではないかなと思います。
もちろん契約解除に伴う一時金支払いなどが破格の金額でしたが、
いずれPayできるとの算段で支払っているのでしょう。頷ける生産性です…
気になる企業の注力パイプラインと売り上げ予測を見よう
あまり知名度もない企業の求人が出てた場合。
でもちょっと興味あるな…そんな人は、開発パイプラインと売上予測を見てみましょう。
世界に先駆けて、日本で承認されて発売するという医薬品は少ないので、
先行して海外で承認、発売されていることがほとんどかと思います。
この場合「英語名で気になる医薬品」+「Peak sales」とかで検索かけると、
色々なアナリストの記事が出てきます。
そう大きく金額のズレはないので、「日本におけるどれぐらいの売上か?」
の簡単な予測は立てることができると思います。
買収されても問題ないように自己研鑽に努めよう
もうこれに尽きるような気がします。
語学はできて損することは全くありませんし、
営業以外の経験を本社で積んで、仕事の幅を広げておく…
そのためにキャリアプランも考えておかなければいけないでしょう。
統計学等を学んでデータサイエンティストとして活躍できる部署とか(Ex:営業推進部など)
担当製品、領域の知識を高めてMSLにキャリアチェンジとか、
やれることは色々手を広げていた方が良いですね。
「会社も新薬続かずジリ貧だし、かと言って転職も面倒だしなぁ〜」とか、
「本社勤務も面倒そうだし、なんとなくMRのままでいいか〜」と言った考えは、
10年後厳しい結果を招くことになると思います。
もちろん自分もそうならないように努力するのですが、
「残酷なリストラを突きつけられてから、一生懸命もがいても遅い」のです。
突きつけられた時点で、会社は何度でも肩を叩いてきますので、
その日から本気出しても遅いのですよね。
まとめ
・売上規模が小さくても生産性が高いかどうかをみてみよう。
・開発パイプラインは、世界の売上初動から、日本での売上シェア等を予測してみよう。
・この時代メガファーマといえど買収の危険性あり。自己研鑽には常に努める。
大きい会社は安定、小さい会社は不安定、というのが原則ではあるものの、
これからの時代どうなるかはわからなくなってきていると思います。
大手でも危険なのであれば、ベンチャークラスの企業への転職も視野に入れてみては、という記事でした。
規模が小さくても生産性が高い企業はたくさんありますからね。
ケースケでした!
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