MRの仕事がつまらない→腐る前に自分のキャリアを考える

MRの仕事がつまらない→腐る前に自分のキャリアを考える

「MRの仕事がつまらない」という意見ありますね。

これは波みたいなものもあると思うんですけど、

それにしても最近の厚労省の締め付けの強さから、

特に若手のやる気が削がれているように感じます。

ちょっとそんな点について書いてみます。

過去取り上げた記事について

以前書いた記事なのですが、前回は「20代」というタイトル通り、

現場に出て2,3年目の人向けに書いてみました。

ありがたいことにこの記事を通して、コメントをもらったり、TwitterでDMもらったり

色々と意見をいただきました。ありがとうございます。

 

【20代の駆け出しMR】仕事のやりがいを感じられない人へ

この記事では「ちょっとぐらいサボってもいいから、勉強して役に立つMRになろう」

というのが主なメッセージだったのですが、

どうやら状況が変わってきているようです。

ということで新たに思うことを少し書いていきます。

 

行動を制限しているのは「情報提供ガイドライン」

もうこの業界の人であれば知らない人はいないですね。

具体的事例まで公開されているあのガイドラインです。

一応PDFのリンク貼っておきますのでご確認ください。

医療用医薬品販売情報提供活動ガイドライン

このガイドラインに掲載されている具体的事例を犯した人は、

クビになったという噂もあるぐらい厳しい処罰が課されるガイドラインです。

(実際に身近にいたことがないので真偽不明ですが)

現場で遭遇した具体的な事例

このガイドラインを逸脱しないように、

「ガイドラインよりも更に厳しいルールを会社内で作成、運用している」企業があるようです。

特定はしませんが、例えば、

・あたえられたパンフレット以外での宣伝が禁じられている。

・そのパンフレットに掲載されているキーメッセージ以外の紹介はしてはいけない。

・説明会スライドの順番を入れ替えることすら許されない。

・説明会には必ず2人以上が出席し、質問の回答は後日学術を通じて返答する。

というものです。そんなバカなと思うものまでありますが、

昨今の厳しい処罰を考えると、会社として広い安全マージンを設定しているのかもしれません。

 

この様子だと、パンフレット以外の話題提供はできなくて、

質問をもらっても回答せずキーメッセージと呼ばれるものを連呼するだけ、

これでは…時間作って面会しようと思う医師が減るのは当然です。

そして現場に出たばかりの人ほどこう思っているのではないでしょうか。

「なんなんだ?この仕事?」

ガイドラインの解釈は企業によっても異なる

こればっかりは変えようがないのですが、

おそらくは大手の会社ほど、かなり厳し目に解釈し行動を制限しているように見受けられます。

事実僕の会社はそこまで細かい規定はないです。

ガイドラインを各々読んで理解し、行動しろという指示があるのみです。

ただ僕の会社は新卒採用を採っていません。

新卒でこの業界に入ってきたほとんどの人は、いわゆる大手と呼ばれる企業に所属していると思います。

そして大手の会社は独自ルールを設けて、パンフレットだけの紹介に従事させる。

なので研修をして、少なからず医療に貢献するぞという心意気で現場に出た新人MRが、

やれることの少なさに絶望を感じてやる気を無くしてしまっているのではないでしょうか。

無意味な訪問回数の積み上げだけが求められている

この状況でさらに「訪問回数」を求める企業が多いのは事実だと思います。

キーメッセージなんて、10回も優しく聞いてくれる医師なんてそうそういないわけで、

アポイントを取るのも難しくなるのです。完全に悪循環。

現在の製薬会社が抱えるジレンマとKPIについては下記の記事も参照ください。

MRの評価はどのようにして決まるのか?理想のKPIを考える

 

外に活躍のフィールドを求めてみる

先ほども書きましたが、僕の会社はそこまで制限が厳しくないです。

スライドの順番も入れ替えることができますし、

キーメッセージ以外のことだって話せます。

医師からの質問に対して自分で文献を読んで回答を探し、

提案することもガイドラインに沿っていれば特に問題がありません。

文献の提供も定められた手続きで著作権処理をして提供することも認められています。

(色々聞いているとMRから一切の文献提供ができないメーカーもあるのだとか)

 

所属企業で禁じられていて、MR活動に面白みを見いだせない人は、

社内異動などを活用して異動するのも一つの手です。

・現在も文献等解釈を自らが勉強して、提案できる企業を探して転職する(MA等がメイン部署でしょうか)

・社内で情報伝達に特段の制限がない部署へ異動する(マーケやマーケットリサーチなど)

この辺りはMRのキャリアとしても、現実的ではないでしょうか。

(MA,MSLは学位が必要な会社も多いですね。薬剤師の資格ある方はチャレンジできるのでは?)

 

社内で空きポジションが無いという方は、思い切って転職をするのも一つの手段です。

最近の求人では、CROの企業がMSLを募集している案件などもあります。

ただこの場合オンコロジーの案件がほとんどなので、

社内にオンコロジー事業部がある場合は、まずはこの事業部に異動するというキャリア設計もできます。

 

僕のいるようなオーファンドラッグを主体とした企業は、

そもそもの規模が小さい影響もあってか、大手ほど「独自ルール」を設けている用には見受けられません。

つまりガイドラインでOKな活動は認められる、という認識で概ね問題ないと思います。

オーファンがいいと言い切ることができるかはわかりませんが、

現在のガイドラインの中で、比較的自由に仕事ができる可能性は高いです。

オーファンにチャレンジしてみるのも一つの手段かと思います。

【オンコロジーからオーファンへ】2度目の転職理由

 

勉強しなくなってしまうのでは?厚労省それでいいの?

こうした活動が制限されていると、自分で文献引っ張って読み込んで勉強しようなんて思わないですよね。

会社作成のパンフレットを話して、「お願い営業」をするだけの人材になってしまいます。

そして新卒で入社した人がお願い営業だけをし続けることで、

特に疑問を感じないまま勉強することを辞めてしまうのかなと。

正確にはやり方すらわからないという人が増えてくるのだと思います。

そしてその世代が中堅と呼ばれる年代になった時、営業所に配属された新人への指導で、

「とにかく訪問してパンフレット渡してキーメッセージ話してきて!」

という指導になるのです。間違ってはいません。それしかできないのだから。

一昔前のなんでもありの時代から、

正しい情報提供を行う活動にシフトしつつあったにも関わらず、

時代は再び遡るというか…MRの価値向上に大きなブレーキをかけていますね。

厚労省としては薬価抑制が命題であり、原価計算方式などで用いられる営業利益に、

MRの人件費が含まれているのであればここを削りたいという狙いがあるでしょう。

 

やれることをやるしかない現状

中長期的なキャリアはここまでで少し触れましたが、

今日からできることは、「社内ルールで問題ないことをやる」しかないわけですよね。

会社が認めているプロモーションツールに「説明会スライド」があると思いますが、

まずはこれを徹底活用です。これが禁じられている会社は無いと思います。

簡単でオススメなのが、

説明会スライドの元になっている引用文献を隅から隅まで読む事だと思います。

スライドは紹介できるツールなので問題無いですよね?

そのスライド作製の根拠になっている文献を、上記の点まで読んでますか?

意外と知らない発見があったりして、

そこがディスカッションポイントになったりするものですよ。

これからのMRはチャレンジャーセールスモデルを目指せ!

この他にやれることは「自社医薬品の副作用について徹底的に勉強する」ことだと思います。

他社品でなければ誹謗中傷にはなりませんよね。

自社品を使うべきで無い人を紹介する、

裏を返せば、それら以外の人には使うことができるのです。

人間多くの選択肢があると悩むものです。ましてや医師は一つの疾患だけを見ているわけでは無いので、

選択と判断に日々迫られています。

せめて自社品の担当領域に関しては、この判断を狭める手伝いをすることが、

現在のガイドラインでできる精一杯の貢献では無いでしょうか。

 

まとめ

・情報提供ガイドラインでかなりの行動が制限されている

・やる気なく腐る前に、外に活躍のフィールドがないか探してみよう

・今やれることをやっておこう。「やれることないから」とサボりだすと抜け出せなくなる

本当に仕事つまらない、医薬品の勉強にも興味ないし、社内異動もない…なんて人は、

ある意味その時点で業界外のキャリアを目指すのも良いかもしれませんね。

早い判断なら、まだ次の仕事でも活躍できると思います。

動かない人はどんどん追い込まれていってしまう現状、

ちょっとの行動力が必要なのではないでしょうか。

ケースケでした!